ワインと料理のマリアージュを成功させる秘訣

レストランでワインをいただくときは、お店の方やソムリエにおすすめを聞くのが一番!でもご家庭で気軽に楽しむときはどんなワインを選べば良いのでしょう?
基本的には料理を美味しくするワインの合わせ方のコツと、できれば避けたいNGな組み合わせを覚えておけば、あとは難しく考えずにお好みで!独自のペアリングで新たなマリアージュを発見するのもワインの楽しみ方の一つなのです。

料理を美味しくするワインの選び方

成功しやすい合わせ方として、「ワインと食材の産地を合わせること」はまず試してみたい方法の一つです。
例えばチーズ。同じ土地で生まれたワインとチーズはその土地の風土に適したものがつくられているので安定した組み合わせが楽しめ、失敗することはほとんどありません。フランス人も大好きで普段からよく食べられているコンテチーズ(Comtè)はフランスの東側にあるスイスとの国境付近にあるヴォージュ山脈一帯フランシュ・コンテ地方でつくられているハードタイプのチーズです。ホクホクとした栗のような食感で木の実のような風味があり、そのままでも料理に使用しても美味しい人気のチーズです。
同郷のジュラワイン、中でもフランス語で黄色いワインを意味する樽熟成された白ワイン「ヴァン・ジョーヌ(VIN JAUNE)」との相性は抜群。この地域の固有種であるサヴァニャンという品種のブドウで造られた、いわゆる白ワインとは違う独特の色合いと香りのあるワインです。癖が無く、わりとどんな方にでも好まれるコンテチーズの同郷のワインが、個性が強いワインだなんて、そのマリアージュを試してみたいと思いませんか?

一方、ブルゴーニュ地方のエポワス村で作られるエポワスチーズ(Èpoisses)は強烈な香りが特徴のウォッシュチーズ。
ワイン造りの過程で出る搾りかすを原料にした蒸留酒のマール・ド・ブルゴーニュ(MARC DE BOURGOGNE)でチーズの表面を塩水と一緒に洗いながら熟成させて作られます。好みを左右するほどに強い匂いを放つチーズですが、ねっとりと柔らかで、その味わいはミルキーな甘味を感じる濃厚な旨味に溢れています。エポワスチーズには、もちろん同じ産地であり銘醸地であるブルゴーニュワインを!ブルゴーニュ地方の中でも、ジュブレ・シャンベルタン(GEVREY-CHAMBERTIN)とのマリアージュはとっておきのマリアージュ!

郷土料理も同じ土地で作られたワインとの相性は抜群。カスレはフランス南西部ラングドック地方やピレネー地方の豆料理。豚肉のソーセージや、羊肉等と白インゲン豆を長時間煮込んだこの料理には、ラングドック地方のしっかりした重めの赤ワインや、フランス南西部のスパイス系の赤ワインなどと合わせて、ぜひ楽しんでみてください。
料理がワインを引き立て、ワインが料理を引き立てる口福に満たされることでしょう。こんな風に食べ物とワインを生まれた場所で合わせる楽しみ方は、料理のこともワインのことも少し深く知るきっかけにもなりますし、その土地の特徴や文化、歴史などにも興味が広がり、食事の時の話題にも繋がっておすすめです。

料理を不味くしてしまう危険な組み合わせ

料理とワイン、それぞれは美味しいものでも、実は合わせ方によってどちらも不味くしてしまうような危険な組み合わせがあることも知っておきたいところ。せっかく楽しい食事のひとときを組み合わせに失敗して、味わいも雰囲気も台無しになんてしたくありませんよね。ここではできれば避けたい代表的な3つのNGな組み合わせをご紹介します。

赤ワインと生魚は一緒に食べると金属の味がする!

最近では和食や寿司にワインを合わせて楽しまれることも多くなりましたが、赤ワインに含まれているタンニンは、生の魚と一緒に味わうと口の中が金属のような味になってしまいます。
特に日本ならではの味わいである明太子や数の子、塩辛といった魚介の加工品は生臭さが強調されてしまい、料理もワインも思わず吐き出してしまいそうになるくらい金属の味に変化するので要注意!これらの料理を楽しむときは、タンニンの弱いロワールやブルゴーニュ、ボージョレーなどのワインで楽しむことをおすすめします。

ビネガーはワインをゾンビにする!

ワインは酸味が強いものとの相性は良くありません。酢酸はアルコールが酸化したもので、ワインが劣化した風味に似ています。そのためワインの味自体を崩してしまう可能性が高いのです。もちろん調味料として、ビネガーをほどよく使われている料理は問題なし!ほどよい酸味でワインを楽しみましょう。

グレープフルーツはワインにとって爆弾である!

酸味が強い食品はワインの味を台無しにしてしまいますので、フルーツも例外ではありません。フルーツそのものを食べる場合で無くても、フレッシュなサラダの中にグレープフルーツやレモンの実が入ったものや、それらの柑橘系フルーツの果汁がたっぷりかかった料理などもワインを不味くしてしまいます。せっかくのおいしいワインに爆弾を投げつけないで!

もちろん味わい方や合わせ方は自由ですから、NGといわれている組み合わせだとしても、食材の調理の仕方やワインの種類によっては意外なマリアージュが見つかるかもしれません。自分なりのマリアージュを探し出すこともワインを楽しむ醍醐味のひとつ。自分の好きなマリアージュを見つけ出して、その組み合わせがもたらす素晴らしさの余韻に浸る至福の時間を楽しんでくださいね。

参考文献:「ワインは楽しい!」(著者:オフェリー・ネマン)

illustration:ムツロマサコ、Vincent LefrançoisAtelier Décalé