ワイン好きの方はもちろん、そうでない方でも耳にしたことがあるフランスのボルドー地方。言わずと知れたワインの名産地の一つです。美味しいワインが豊富に揃うフランスの中でも世界的に有名な2大産地といえば、このボルドーとブルゴーニュ。今回は2019年11月に訪れたボルドーの魅力をご紹介いたします。
ワインだけじゃない！まずは魅力あふれる街並みをぶらり散歩
私の仕事の本拠地であり暮らしを営む福岡市と姉妹都市を結んでいるボルドー。年に数回、仕事でフランスに来ることがあるのですが、ボルドーを訪れる度に都市の規模感や、どんな国や地域からでも訪れた人々を快く受け入れてくれる懐の深さが我が福岡とどことなく似ているように感じて親しみを覚えてしまいます。異国の地でありながら、ボルドーを訪れるとホームに帰って来たかのような心地良ささえ感じるのです。パリとＴＧＶ（フランスの超高速列車）で結ばれたことで近年の景気は上り調子！都市開発も進み、人口もどんどん増えていることなど、都市としての成長の具合も福岡と似た部分が多く感じられます。実際、パリのモンパルナス駅（Gare Montparnasse）からTGVを利用して直通で約２時間、サン・ジャン駅（Gare de Bordeaux St-Jean）に降り立って周辺を眺めてみると、次々と建設中のビルが目に飛び込んできます。ボルドーには日本では目にかかれないような珍しいデザインの建築物も多く、そんな一風変わったデザインの建物の中でどんな人が暮らし、どんな仕事が進んでいるんだろう‥‥なんて想像するだけでも、すでにワクワクしてしまいます。
一方、さすがはフランス。近未来的な建築物が出没しながらも、街中は歴史を感じさせる石造りの建造物が多く立ち並び、新旧の建物が融合しながら美しい街づくりを成立させているのもこの街の魅力の一つです。ボルドーの地域一帯は、長い間、イギリスの支配下にありました。温暖な気候に恵まれたボルドーにはガロンヌ川とドルドーニュ川、そしてその2つが合流してさらに大西洋へと繋がるジロンド川が流れ、この川のそれぞれのほとりで土壌が違うため、傾向の違う良質のワインを作ることができるのです。この大きな川を利用して船でイギリスへ大量に輸出することができたため、当時のイギリス人はボルドーワインの美味しさの虜になり、どんどん輸出量も増え、ワインだけでなく都市も港も発展していったのです。ボルドーという土地の名前は「水のほとり」という古語に由来すると言われ、ガロンヌ川周辺は三日月型をした市街地で「月の港」として世界遺産にも登録されているんです。もちろん今でもこの３つの川のほとりには、たくさんのワイナリーがありますよ。ガロンヌ川沿いの市内中心地にあるブルス広場（Place de la Bourse）には観光スポットとしても有名な「ミロワール・ドー（Le Miroir d’eau）」があります。ここは世界最大の水鏡で、ランドスケープ・アーキテクトのMichel Corajoud氏が手掛けたもの。15分ごとに敷き詰められた花崗岩から溢れる水で深さ２cmほどの巨大な水面を作り出します。そこに映し出された宮殿や街並は幻想的で、特にライトアップされた夜の風景は、なんともロマンティックで世界中の人を魅了するのもうなづけます。男の自分でもうっとりしてしまうほど。今回、訪れた時はどんより重たいグレーの雲が広がるあいにくの雨模様でしたが、それでもやっぱり美しい水鏡なのでした。
やっぱり外せない！ワインは一番の魅力
そして何といってもボルドーの一番の魅力は、世界一と言っていいほど名の知れたワイン産業ですよね。ワインといえばフランス。フランスワインといえばボルドーといった具合ですね。やはりそのスケールは巨大！生産者の数はボルドー地方だけで、なんと7,000軒を超え、ワインは年間７億本以上もの膨大な生産量を誇ります。さすが世界中で愛されているだけあって、すごい数の羅列ですが、その規模は容易に想像がつきません。でも、街中にあるワインショップに入ってみるだけで、店頭に並んでいるその豊富な種類とワインの量をひと目見ると、簡単に納得してしまうのですけどね。先ほど紹介した三つの大きな川がボルドーワインの輸出を大きく助けただけでなく、砂利質であったり、粘土質が高かったりと地域によって変わる土壌で栽培されるブドウの品質が異なることで、数々の素晴らしいワインが造り出されているのも大きな魅力の一つです。世界最高級クラスのワインを造り出すワイナリーが多く存在し、高品質で力強いワインが多く安定して生産されています。ボルドーワインの味わいの特徴は、重厚な力強いフルボディのいわゆる重たいワイン。しっかりとした味わいの肉料理と合わせると、ワインも料理も美味しさが倍増します。世界中のディナーを楽しむ場面で選ばれて愛され続けている理由の一つですね。
おすすめの地域はオー・メドック（Haut Medoc）！
もしボルドーを訪れる機会があるのでしたら、ぜひ「オー・メドック（Haut Medoc）」へ！ここは、ジロンド川左岸の上流に位置するメドック地域のことで、川が運んできた小石が多く含まれた石灰質の痩せた土地に広がり、この土壌が香りやふくらみを与え、ここで育ったブドウが多くの最高級のワインを生み出しているのです。そして１本数万円もしちゃうようなワインを生産しているワイナリーがたくさん存在します。ボルドーのワイナリーは「シャトー（城）」と呼ばれ、本当にお城のようなところでワインが造られています。車を走らせながらそのシャトーを外から眺めるだけでも案外楽しいものです。もちろんシャトーに入り、試飲や醸造施設の見学もできますので、希望される際は前もってワイナリーにご連絡を！気になるワイナリーのウェブサイトからアクセスできますし、当日でもボルドーの観光案内所で訪問できるワイナリーを紹介してくれたりもしますので、利用してみてはいかがでしょう。ボルドーはフランス語だけでなく、英語が通じるワイナリーが多いので気軽に訪問できるのもいいところですね！
この11月の訪問時は時間が無く、シャトーを外から撮影しただけでした！残念！！次回の訪問時はゆっくりと時間を取ってたっぷりワインを試飲したり、美しいシャトーの内部や広大に広がる葡萄畑の空気を楽しむぞ！と心に固く誓ったのでした。
