イタリアと並び、世界で最もワインを生産し、さらに世界中に最もワインを輸出している国のフランス。ワインをあまり飲まない方であっても、「フランスはワイン生産国」というようなイメージがあったり、「今年のボジョレーヌーボーは10年に一度の出来」「フランス産ワインには、1本100万円以上するようなものもある」といったフランスワインの話をご存じの方もたくさんいらっしゃいます。
現在、我々消費者にとって、フランスワインには様々なイメージがあります。特によく伺うのが、フランスワインは「値段が高い」や「難しい」などの意見ですが、実際には、フランスワインは1,000円を切るような価格帯のものがたくさんあり、1,000円から100万円までのワインが見つかるような「価格とそれに比例した味わいのバリエーション」がフランスワインの強みとも言えます。難しいという点も、ラベルがフランス語で記載されていたり、そのラベルにブドウの品種名がはっきりと記載されていないからかもしれませんが、産地ごとのワイン造りの伝統がしっかりとあり、地域に根差した味わいの特徴があるため、慣れてくると、産地やラベルから味わいの予測がしやすい「わかりやすい」という部分が見えてくるでしょう。
フランスワインを代表する11の産地
まずはそのフランスを代表する産地をみていきましょう。フランスワインをより楽しむためには、その産地に関する知識をもっていることが重要になります。
フランスの主な産地(50音順)
- アルザス
- コルス島(コルシカ島)
- シャンパーニュ
- シュッド・ウェスト(南西地方)
- ジュラ
- ブルゴーニュ
- プロヴァンス
- ボルドー
- ラングドック・ルーション
- ローヌ
- ロワール
上記が、フランスを代表する産地と言えます。さらに細かく細分化はできますし、どの地域をフランスを代表する土地というべきかで、様々な意見はあるかと思いますが、こちらのサイトでは上記を「フランスを代表する11の産地」とさせていただきます。
では、各産地の特徴を簡単にですが、こちらにて説明させていただきます。
1. アルザス地方
フランス北東部、ドイツとの国境近くにある地域。白ワインの銘醸地と知られ、リースリングやピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネールなどを使用した香り高いワインが多く造られていて、甘口ワインの生産も盛んです。
2. コルス島(コルシカ島)
フランス南部、地中海に浮かぶ島。イタリアのサルディーニャ島のすぐ隣にあり、イタリア文化の影響を色濃く受けたワインが生産されています。品種もサンジョヴェーゼ(コルス島ではニエルッキオと呼ばれています)やヴェルメンティーノなどのイタリア系土着品種が多く栽培されています。比較的ライトボディのワインが生産されている印象ですが、野性味のある力強いワインや、甘口ワインまで、多彩なレパートリーのあるワインが生産されています。
3. シャンパーニュ地方
スパークリングワインの銘醸地。瓶内2次発酵を行うシャンパーニュ製法を行い、他の地域よりも長く熟成させてからワインをリリースするため、生産されるスパークリングワイン(シャンパーニュ)は、より味わいに深みがあり、泡も繊細で細やか、長い余韻を持つのが特徴です。シャンパーニュ地方で収穫されたブドウを使用し、定められた法律を守って造られたスパークリングワインのみがシャンパーニュと名乗ることを許されます。
4. シュッド・ウェスト地方
銘醸地であるボルドーの東側の地域、ワインもボルドーに似た、力強くしっかりとした味わいのフルボディの赤ワインが生産される傾向にあります。マルベックを使用した、力強く長期熟成向けの赤ワインもシュッド・ウェスト産です。
5. ジュラ地方
フランス東部、スイスとの国境近くに広がるジュラ高原にある産地。サヴァニャンという品種を使用し、酸化熟成させたワイン「ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)」や陰干しブドウで造った「ヴァン・ド・パイユ(黄ワイン)で有名な産地です。
6. ブルゴーニュ地方
ボルドー地方と対をなす、フランスを代表するワイン銘醸地。赤ワイン白ワインともに世界的な評価を受ける産地であり、酸味を基調とした、繊細で深みのあるエレガントなワインが産出されています。畑ごとにブドウを収穫し、ワインを醸造するのが特徴であり、高額なものとなれば、1本数十万円するものも。
7. プロヴァンス地方
フランス南東部、マルセイユやニースを中心とする地域。赤、白、ロゼワインが生産される地域ですが、近年ではロゼワインの評価が世界的に高く、世界中にこちらのプロヴァンス産のロゼワインが輸出されています。プロヴァンスのロゼはシャープですっきりとしたタイプが多く、よく冷やして夏の日に楽しんでいただきたい味わいです。
8. ボルドー地方
フランスを代表する赤ワインの銘醸地。力強くフルボディ、複雑性に富んだ赤ワインが生産されており、その真価は何十年にも及ぶ熟成ののち表現されると言われます。近年になり、比較的若いころからも楽しめる赤ワインや、ロゼや白のボルドーワインも評価されるようになりました。甘口ワインで有名なソーテルヌも、こちらの地域に含まれます。
9. ラングドック・ルーション地方
フランス南部、スペインへ続く地中海沿岸に広がる地域。大量生産の安価なワインが生産される地域と言われていましたが、近年になり、素晴らしい品質を誇るものも造られるようになりました。熱く乾燥した気候に恵まれ、一般的なこちらの地域のワインは、果実味豊かでボリューム感があり、スパイシーなノートも伴います。
10. ローヌ地方
美食の街といわれる「リヨン」の南部に広がる地域。シラーやグルナッシュを使用した、力強くスパイシーな赤ワインの銘醸地と知られ、熟成させたローヌワインはジビエとの素晴らしい相性を楽しませてくれます。フランス3大ロゼワインといわれる「タヴェル」は、こちらの地域に含まれます。
11. ロワール地方
フランス北西部、フランス最長の川、ロワール川流域に広がる地域です。川上から川下まで、非常に広い産地であり、使用する品種もワインのスタイルも様々ですが、全体的に軽やかで飲みやすいワインが生産されている産地といえます。
フランスワインを代表する11の産地まとめ
以上がフランスを代表する産地です。気になる産地はありましたでしょうか?次回以降は、各産地と使用されるブドウ品種について、より掘り下げていきたく思います。