お祝いの定番、シャンパーニュってなに?

ワインを普段飲む機会が少なくても、シャンパーニュを楽しむ人がいるほどワインの中でも別格と言われるほどのシャンパーニュ。今回は、今さら聞けないシャンパーニュのことを振り返ってみましょう。

シャンパーニュとは?細かい定義

シャンパーニュとは、スパークリングワインの一種です。中でもフランスのシャンパーニュ地方で収穫されたブドウを使用し、シャンパーニュ地方で「瓶内二次発酵」を行い、生産されたもののみを「シャンパーニュ」と呼びます。

さらに、そのシャンパーニュを生産するための厳しいルールがあり、フランスの法律で使用できるブドウ品種や、収穫されたブドウから絞ることができるブドウジュースの量など、細かいルールがたくさんあります。

日本ではシャンパンと呼ばれることも多いですが、現地フランスの発音では「シャンパーニュ」と呼ばれています。

シャンパーニュの製法「瓶内二次発酵」

シャンパーニュの製法に目をやると、シャンパーニュは、特徴的な製法として「瓶内二次発酵」というものを必ず行って生産されます。瓶内二次発酵とは、シャンパーニュに欠かせない炭酸を作り出す発酵のこと。

シャンパーニュは、生ビールサーバーやコーラのように炭酸ガスを注入して炭酸を作るのではなく、一本一本のボトルの中に酵母とその酵母の餌となるリキュールを入れます。その酵母が活動した結果、発生した炭酸ガスを閉じ込めて造り上げているのです。

一本一本のボトルでこの「瓶内二次発酵」を行うだけでも手間がかかることが想像していただけるかと思いますが、さらにこの「瓶内二次発酵」を行う期間に最低でも15ヶ月かけなければならないと法律で決まっているのです。ちなみに15ヶ月とは最低の期間、さらに言うと、この瓶内二次発酵には10年の歳月をかけて作られるシャンパーニュもあります。

通常のワインであれば早いもので半年、通常は約1年ほどで瓶詰されリリースされますが、シャンパーニュはリリースされるまで最低でも約2年もかけられます。手間と時間を惜しみなくかけて生産されるシャンパーニュ。この瓶内二次発酵のおかげでシャンパーニュは、非常に繊細でクリーミーなきめの細かい泡と、「熟成香」や「シャンパーニュ香」と評されるブリオッシュやパンの酵母と評されるような香りを得ることができるのです。

長い時間と手間暇をかけて作られることを義務づけられたワインである「シャンパーニュ」!その美味しさにも納得ですね!

シャンパーニュが高品質である理由

日本はシャンパーニュが好きな方が多い国ともいわれています。日本食との相性も良く、華やかできらびやか、豪華でセレブなイメージのあるワインというのも人気の理由かと思いますが、ソムリエとして勤務していた時に、シャンパーニュがなぜ人気があるかをお客様に伺った際、「常に高品質である」と答える方が多かったことを思い出します。

シャンパーニュはブドウという毎年品質の変わる農産物から造り上げるものでありながら毎年、高品質なものが生産されています。では、なぜ毎年「高品質」、つまり美味しいのでしょうか?

その理由は、ほとんどのシャンパーニュが「ノンヴィンテージ(フランス語ではノンミレジメ)」で作られているからです。

「ノンヴィンテージ」とは、日本語にすると「ヴィンテージ無し」。レストランのリストには「NV」と記載されています。通常のワインには存在するブドウの収穫された年の記載がなく、そのシャンパーニュに使用されるブドウは複数年に渡って収穫されたものを使用しているということを指しています。

ワインの生産地域の中でも、より北限に近いシャンパーニュ地方は、日射量や気候条件にあまり恵まれておらず、毎年完熟した美味しいブドウが収穫されることが確約されません。そのため美味しいシャンパーニュを生産するために、前年以前のワインをリザーヴワインとして保管し、使用することが許されたのです。

このリザーヴワインを使用し、毎年様々な年に収穫されたものをブレンドすることによって、シャンパーニュを生産するワイナリーそれぞれの味わいを毎年再現し、最高の品質を維持することができるのです。

さらに、シャンパーニュが高品質と言われる理由のもう一つの理由に「飲み頃を待つ必要がない」ことが挙げられます。

通常のワインは、香りが開いたり、味わいの角がとれるのを数年待つ必要があることも多くあります。シャンパーニュのほとんどはヴィンテージ表記がなく、ブレンドが行われ、さらに瓶内二次発酵(瓶内熟成)の期間を長く設ける(最低15ヶ月)ことによって生産されます。

要はシャンパーニュはワイナリーである程度、熟成されてからリリースされるということです。さらにリリース前にはリキュールを添加して、最後の味わいの調整がされます。手間暇をかけて最高の状態でリリースすることを考えてシャンパーニュは作られているのです!これが「飲み頃を待つ必要がない」といわれる理由なんですね。もちろん、購入した後にセラーでさらに寝かしたシャンパーニュには、ブレンドの技術や、長い瓶内熟成の手間暇がもたらした信頼があります。これらの理由が「いつ飲んでも美味しい」といわれ、ヴィンテージの良し悪しや飲み頃を考えず楽しむことができるシャンパーニュの人気の秘密なのですね!

シャンパーニュのグラスの選び方

シャンパーニュは、一般的には、細長い「フルートグラス」というグラスで楽しみます。いろいろなレストランで出てくる細長いグラスです。また、パーティやシャンパンタワーで使用される「クープグラス」というカクテルグラスのようなタイプもあります。

ではどちらがシャンパーニュを楽しむために適しているのでしょうか?まず、二つのグラスでシャンパーニュを飲んだ際の特徴を挙げていきましょう。

フルートグラスの場合

・グラスが細長いため、泡が立ち上るのが綺麗
・液面が狭いため、炭酸をキープすることができる
・底に傷がついているため、泡が一本の線のように綺麗に立ち上がる
・ワインを注ぐときにグラスを持ち、斜めに傾けて注がないとシャンパーニュを高いところからグラス  の底に落とすことになるため、炭酸が簡単に飛ぶようになっている
・炭酸を綺麗に立ち上らせるためにつけた傷が時として、簡単に炭酸を飛ばしてしまうこともある

クープグラスの場合

・背が低いため、安定して持ちやすい
・グラスを包み込むように持つと何となくゴージャスでセレブ
・シャンパンタワーを作ることができる
・液面が広いため、炭酸が飛びやすい

見た目以外のメリットが大きいのは、皆さんの想像通り「フルートグラス」ということになりますが、シチュエーションによって使用するグラスを選ぶと良いですね。

ロゼシャンパーニュ

シャンパーニュはクリスマスや、パートナーとの大事な記念日、そういった特別な日に飲むことが多いといわれています。そういった場合は、なんとなく愛情を表現したピンク色の「ロゼシャンパーニュ」を選ぶ方も多いのではないでしょうか。

というわけでレストランでロゼシャンパーニュで乾杯!と言いたいところですが、実は、このロゼシャンパーニュ、楽しみ方は乾杯だけではないのです。

もちろん、そのかわいらしいピンクの色合いから、カップルのための飲み物、またまた春には桜の色合いに合わせてお花見の時に飲むもののイメージが強い「ロゼシャンパーニュ」。

もちろん、楽しみ方は人それぞれですが、今回はそのロゼシャンパーニュを生産しているフランスではどのように楽しまれているのでしょうか。

現地フランスでは「ロゼシャンパーニュ」はデザートと楽しむのが定番となっています。もちろん、恋人同士が乾杯、というのもありますが最もメジャーなのはデザートとのマリアージュで。

イチゴやラズベリー、さくらんぼのような小さな赤いフルーツのニュアンス、ブリオッシュやパンケーキのような香り、カカオやチョコレートなど、ロゼシャンパーニュが感じ取れる香りの数々は、皆さんが普段楽しんでいるデザートとの共通点が非常に多いのです。ラベルにBrut(ブリュット:辛口)と書いてあれば辛口のシャンパーニュにはなりますが、甘いデザートに合うようほんの少しだけ甘めに仕上げられることも多いのです。

もちろん、ロゼシャンパーニュも各ワイナリーによって味わいがことなり、柑橘系のニュアンスが強いもの、ボディのしっかりしたもの、より甘めに仕上げられたものなど、デザートに合わせてロゼシャンパーニュを選ぶ楽しみもあります。考えただけでもデザートとロゼシャンパーニュにチャレンジしたくなりますね。

まとめ

シャンパーニュの楽しみ方は人それぞれ。お祝いの席だけのものではなく日常の小さなご褒美としても楽しむことが出来ます。乾杯をシャンパーニュ、締めをデザートとシャンパーニュ、などあなたのお気に入りの一本を見つけて、乾杯の時間を過ごしてみてください。

記事:WineJourney編集部