ブルゴーニュ地方を知ろう/フランスのワイン産地

フランスワイン産地で最初にに思い浮かぶのは、ブルゴーニュやボルドーという方も多いはず。今回、ご紹介するブルゴーニュはフランスの中東部に位置する、フランスの中でも有数のワイン産地です。飲みやすく、きれいな味わいワインが多いといわれるブルゴーニュですが、実際はどんなワインが作られているのか、今回は詳しく見ていきたいと思います。

ブルゴーニュってどんなところ?

フランス国内の銘醸地として、ボルドーと並び世界的に評価を受けるブルゴーニュ地方。フランス国内東部に位置し、ブルゴーニュ地方最北端にあるシャブリ地区へは、パリから車で約2時間ほどで到着します。

ブルゴーニュ地方のワイン造りの歴史は長く、4世紀以降に修道士が発展させてきたワイン産地と知られ、その当時より畑が細かく分けられ、村ごと畑ごとに出来上がるワインの品質や味わいが異なることが発見されていました。

ブルゴーニュの歴史

ブルゴーニュ地方でのワイン生産の歴史は非常に長く、文献により異なりますが、ブルゴーニュ地方でのブドウ木の栽培は、紀元前にその当時のフランスの土地を支配していたローマ人が持ち込んだことに始まったと言われます。

2世紀には、ワイン造りが既にブルゴーニュ地方の産業や文化といえるほど発展していたそうです。また、ブルゴーニュ地方の名前は、5世紀に、現在のブルゴーニュの土地にあったブルグンド人による「ブルグンド王国」に由来します。

その後も順調に発展していったブルゴーニュ地方のワイン文化ですが、中世の時代に修道士たちのもとで、現在のブルゴーニュワインの礎が生まれることになります。彼らは、畑を細分化し、その畑で生まれるワインの違いを明確に区別していきました。その結果、現在のテロワールやクリマの考え方の基礎となる、「名前」を持った畑が生まれていくことになります。クロ・ド・ヴージョやクロ・ド・べーズなど、今も続く銘醸地の多くは、この時に区分けされ、1000年以上の時を経た現在でも、その土地と名を失うことなく、素晴らしいワインを生み続けています。我々が今もブルゴーニュワインを楽しむ際に考える「テロワール」という概念の基礎も、彼ら修道士がもたらしたものです。

ブルゴーニュのワインの特徴

ブルゴーニュ地方のワイン造りでは、複数の品種をブレンド(アッサンブラージュ)するボルドー地方と異なり、単一品種で醸造することが基本です。ブルゴーニュの赤ワインは基本的に「ピノ・ノワール」という黒ブドウを、白ワインは「シャルドネ」という白ブドウを他のブドウ品種と混ぜることなく醸造し、ワインに仕上げます。

ブルゴーニュ地方のワインは単一品種で仕上げる為、そのブドウの育った土地や畑が重要とされ、ワイン選びの指針とされています。その畑も格付けされており、主に「特級畑(グランクリュ)」「一級畑(プルミエクリュ)」「村名(ヴィラージュ)」「地域(レジオナル)」の4つのカテゴリーに分けられます。

ブルゴーニュ地方のメインとなる畑は、「コート・ド・ニュイ・地区」と「コート・ド・ボーヌ地区」。この二つの地域は、南北に延びる東向きのなだらかな斜面を持った丘に位置し、日当たりと水はけに優れ、素晴らしい果実を育てることに適しています。ブルゴーニュ地方の畑は別名「コート・ドール(黄金の丘)」とも言われ、秋には一面の畑が紅葉により黄金に染まることから、この名前が与えられたといわれます。

ブルゴーニュ地方の気候は、フランス国内のワイン産地でも北部に位置するため比較的冷涼。内陸性気候にあたり、冬は寒く、夏は乾燥し暑いのですが、昼夜での寒暖差があります。この寒暖差が、果実に酸を残したまま完熟させることを可能にするため、ブルゴーニュのワインは赤ワイン白ワインともに、エレガントな酸味を持ち、その酸味が余韻や繊細性を際立たせます。

ブルゴーニュを語る上では外せないテロワール

ブルゴーニュ地方で、忘れてはならないのはワイン造りにおける「テロワール」という概念。簡単に日本語に訳すと「気候風土」という言葉になりますが、テロワールという概念は単なる気候風土の話ではないため、そのまま「テロワール」という言葉で世界中で使用されています。

ブルゴーニュ地方では、「テロワール」は、3つの要素からできているといわれ、「土壌」「気候」「歴史(人)」の3つの要素がワインの味わいを造り上げるとされています。ワインの味わいを構成する要素として、土壌や気候が重要なことはもちろんですが、その果実の味わいをワインに仕上げる人、そしてその人の技術が培われてきた歴史も、重要というのがブルゴーニュ地方の「テロワール」への考え方です。

ブルゴーニュの主なワイン品種

ブルゴーニュの特徴として、基本的に白ワインは「シャルドネ」という白ブドウ品種を使用し、赤ワインには「ピノ・ノワール」という黒ブドウ品種を使用し、他の品種と混ぜることなく、単一品種100%を使用してワインが造り上げらます。

このシャルドネとピノ・ノワールのワインがブルゴーニュ地方産のワインの80%以上を占めるのですが、ガメイやアリゴテといったブルゴーニュ地方の伝統的なブドウ品種として栽培されています。

また、他にもピノ・ブーロ、サシーやセザールといった品種も栽培されていますが、ブルゴーニュ地方でもなかなか見つけることができません。。今回は、このブルゴーニュ地方を代表する4品種をご紹介します。

ピノ・ノワール

果皮が薄く、繊細でエレガントな味わいの赤ワインをつくることができるブドウ品種。渋みや重さはあまりありませんが、酸味やミネラルに優れるワインを生産することができます。ブルゴーニュ地方の赤ワインは、基本的にこのピノ・ノワールを他の品種とブレンドせず単一100%で造り上げられます。

ガメイ

ボジョレー地区の黒ブドウ品種であるガメイですが、このボジョレー地区もブルゴーニュ地方の地域の一つ。もちろん、それ以外のブルゴーニュ地方の中でもガメイは栽培されています。ガメイも、ピノ・ノワールのように渋く重いワインをつくるような品種ではありませんが、よりフルーティでイチゴなどのベリー系の果実味を持ったワインを造ることができるブドウ品種です。

シャルドネ

ブルゴーニュ地方の白ワインと言えば、こちらのシャルドネを使用して醸造されます。
ブルゴーニュ産のシャルドネは、樽発酵、樽熟成を行うのが伝統的であり、豊かな果実味とともに、バターやバニラなどのニュアンス、リッチなボディ感も楽しめるようなものが生産されています。

アリゴテ

酸味が特徴的とも言われる白ブドウ品種「アリゴテ」。酸っぱいイメージもあり、あまり人気のあるブドウ品種ではなかったのですが、近年の温暖化とともに、酸味が穏やかになり、ワインの品質が向上したため、注目されるようになりました。

グランクリュとプルミエクリュ

ブルゴーニュ地方で忘れてはならない法律が、「ワインの格付け」です。ボルドーやシャンパーニュ地方など、フランスのワイン銘醸地には、このワインの格付けが存在し、各地域ごとに少しずつルールが異なっています。ブルゴーニュ地方では、ワインのカテゴリーは、大きく分けると以下の4つの格があることになります。

レジオナル地域名
ヴィラージュ村名
プルミエ・クリュ一級畑
グラン・クリュ特級畑

この4つの格は、それぞれ「ブドウの取れた場所(畑)」を指します。例えば、レジオナル(地域名)の格では、その地域の中で収穫されたものであれば使用していいということになり、代表的なものは、「ブルゴーニュ・ルージュ(ブルゴーニュ地方で収穫された赤ワイン)」となります。ヴィラージュ(村名)であれば、ジュヴレ・シャンベルタンやムルソーなど、その村の中で収穫されたブドウのみを使用したワインを指します。ブルゴーニュ地方では、ブドウが取れた場所(畑)を重要視しますので、ラベルにも、ブドウ品種ではなく、畑が取れた場所がワイン名として表記されます。また、この格付けの中でも、特に優れた畑を指すのが「プルミエ・クリュ(1級畑)」、そして最上の畑を指すのが「グラン・クリュ(特級畑)」です。ブルゴーニュ地方にプルミエ・クリュは約680ヶ所、グラン・クリュは33か所あり、ブルゴーニュ地方のワインの全生産量からすると、プルミエ・クリュのワインは約10%、グランクリュは約1.5%と非常に希少なことがお分かりいただけるかと思います。

このグラン・クリュやプルミエ・クリュのワインは、はるか昔から、特別なテロワールを持つ場所と考えられている場所です。日当たり、排水、土壌の要素は、素晴らしい果実を収穫するためにもちろん優れており、さらに、出来上がったワインに表現される香りや味わいの違いが畑ごとにあるとされます。

ブルゴーニュの主な産地

ブルゴーニュの中は主に6つのエリアに分かれており、それぞれ作られるワインの特徴があります。6つの地域は、北から「シャブリ、グラン・オーセロワ地区」「コート・ド・ニュイ地区」「コート・ド・ボーヌ地区」「コート・シャロネーズ地区」「マコネ地区」「ボージョレ地区」となります。

ブルゴーニュ全域

シャブリ、グラン・オーセロワ地区

ブルゴーニュ地方で最も北に位置する地区。世界で最も有名と言っても過言ではない白ワイン「シャブリ」は、この地区内にある「シャブリ村」で生産された白ワインのことを指します。この地域を象徴するのが、貝の細かな化石を含む石灰質を持ったキメリジャン期の土壌。この石灰質土壌から、シャブリ特有の柑橘系のスッキリとした味わいやミネラルがワインに与えられると言われます。この地域には、「サン・ブリ村」や「イランシー」など、ブルゴーニュ地方のワインでありながらピノ・ノワールやシャルドネ以外のブドウ品種を造り上げる産地もあります。

コート・ド・ニュイ地区

ブルゴーニュ地方1番の街「デイジョン」からワイン産業の中心地「ボーヌ」まで伸びる産地はコート・ド・ニュイ地区と呼ばれます。特にピノ・ノワールの品質の高さで知られる地区で、ブルゴーニュの赤ワインの銘醸地を代表する「ジュヴレ・シャンベルタン村」や「ヴォーヌ・ロマネ村」が位置するのもこちらの地区です。コート・ド・ニュイの赤ワインは、他のブルゴーニュの赤ワインと比較すると、しっかりとしたボディ感と味わいの深み、重厚感を感じさせるニュアンスを持ち合わせます。熟成にも適しており、偉大なヴィンテージのものは50年以上熟成するものもあります。世界で最も高級なワインと言われる「ロマネ・コンティ」も、こちらの地区のワインです。

コート・ド・ボーヌ地区

コート・ド・ニュイのすぐ南に広がる地域がこちら。「コルトンの丘」と呼ばれる一面が特級畑に恵まれた丘が、この地区の北側に広がります。コート・ド・ボーヌ地区は、どちらかというとシャルドネで造られた白ワインの品質の高さで知られる地域。世界最高峰のシャルドネの銘醸地とされる「ムルソー村」や「ピュリニー・モンラッシェ村」も。このコート・ド・ボーヌ地区に位置します。特に特級畑「モンラッシェ」のワインは、世界中のブルゴーニュファンが追い求めるワインです。白ワインで有名な地区ではありますが「ポマール村」や「ヴォルネイ村」など、赤ワインの品質の高さで名を馳せる村もあります。

コート・シャロネーズ地区

コート・シャロネーズ地区は、近年ブルゴーニュ地方のワインの人気が高まり、値段が高騰するほどに注目を集める地域となりました。コート・ド・ニュイやコート・ド・ボーヌと比較すると、南部に位置し、比較的温暖な気候があるために、ワインのキャラクターは果実味に優れ、若い頃からも魅力的な香りと味わいに優れます。コート・シャロネーズ地区のワインは価格も比較的リーズナブルですが、ますます品質が高まっていると言われ、多くのブルゴーニュワインラヴァーから注目を集めています。現地のレストランやビストロでは、その親しみやすさから定番のワインとして楽しまれています。

マコネ地区

マコネ地区は、昔は大量生産ワインの地と言われ、リーズナブルな価格帯の白ワインが数多く生産されていました。近年になり、プイィ・フュイッセなどの特殊なテロワールを持つ村々に注目が集まり、小規模生産者が高品質のワインを造り上げるようになった産地として知られています。品質の向上と生産者の努力が評価され、近年、マコネ地方の銘醸地「プイィ・フュイッセ村」の一部の区画は「プルミエ・クリュ(1級畑)」を名乗ることが認められました。

ボージョレ地区

我々日本人にとってなじみのある「ボジョレーヌーヴォー」が生産される地区。ヌーヴォー(意味:新しい)の名の通り、ボジョレーヌーヴォーは、この地域産の新酒のことです。もちろん、ボジョレー地方では新酒以外の、じっくりと樽で熟成させてからリリースするワインもあります。ボジョレー地方では主に赤ワインが生産されていますが、ブドウ品種はピノ・ノワールではなく、ガメイというブドウ品種を使用してワインが造られています。ガメイは特有のイチゴのようなニュアンスを持ち、フルーティで甘酸っぱい味わいをワインに表現し、比較的軽やかなワインが多い傾向ではありますが、近年では他のブルゴーニュ地方のピノ・ノワールの赤ワインに負けないような品質のワインも生まれています。

ブルゴーニュによく合う食事は?

ワインが有名なブルゴーニュ地方ですが、同じぐらい食文化が豊かな土地としても知られます。食材でいうと、フランスで最も有名な牛肉のシャロレー牛や、ブレス鶏、マスタードやカシス、エポワスなどのチーズもブルゴーニュ地方の名産です。郷土料理にも、ワインを使用したものがあり、ブッフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮込み、ブルゴーニュウ風)やコック・オー・ヴァン(雄鶏のワイン煮込み)、ウッフ・オン・ムーレット(ワインソースでつくるポーチドエッグ)など、ワインをソースや煮込みに使用した料理には、同じくその地方産のワインが相性抜群です。また、付け合わせに使用するブルゴーニュ産のマスタードは辛味よりも爽やかな酸味が特徴的で、ブルゴーニュ産のワインとも相性が高いです。

ブルゴーニュ地方は食文化が多様で豊かな土地でもあるため、ワインも食事と一緒に楽しんでいただきたく思います。基本的にはお肉料理と相性のいいブルゴーニュの赤ワイン(ピノ・ノワール)ですが、特徴的な酸味や繊細性との相性を考えると、和食との相性も高く、熟成したものは醤油や旨味とも相性抜群です。ブルゴーニュ産白ワイン(シャルドネ)も、魚料理と合わせるのが基本となりますが、リッチなニュアンス、オイリーなテクスチャーやバターのような風味に合わせて、バターやクリームを使用した料理と合わせるのもいいでしょう。

まとめ

世界トップクラスの人気を誇るフランスの銘醸地「ブルゴーニュ地方」の解説はいかがでしたでしょうか? 「ワイン好きは皆ブルゴーニュに辿り着く」とも言われ、それほど魅力のあるワイン産地です。繊細で華やかな味わい、畑それぞれが個性をもつブルゴーニュ地方のワインは、多くのワインラヴァーを惹きつけ続けています。

その奥深いブルゴーニュワインの世界は、底が知れず、知れば知るほど、より掘り下げて理解したくなるような不思議な魅力を持っています。今回ご紹介させていただきました範囲は、ブルゴーニュワインの入口に過ぎません。皆さまにはそのきっかけになれば良いなと思っています。

記事:WineJourney編集部