赤ワインのブドウ品種・黒ブドウ17種類まとめ

「フルーツのブドウとワインのブドウって違うの?」
「赤ワインはなんで渋味があるの?」

今回はそんな疑問にお答えします。

一般的にワインに使われるブドウは、ワイン用として栽培されています。
フルーツ用のブドウは、みずみずしく食べやすいように改良されており、一方ワイン用のブドウは、糖度が高く、酸味が高い、そして果皮が厚く種が多いものになります。ワインに渋味が感じられるのは果皮や種の影響によるものです。

赤ワインは、見ての通り赤黒い色をしています。これは、「黒ブドウ」を使っているからです。
赤ワインには黒ブドウ、白ワインには白ブドウを使ってワインは造られています。

一口に黒ブドウや白ブドウといっても、様々な品種があります。それぞれのブドウの特徴を知ることで、ワインの違いを一層楽しむことができます。

今回は赤ワイン用の黒ブドウの特徴と、メジャーな種類についてご紹介します。

赤ワイン用の黒ブドウの特徴

赤ワイン用のブドウは黒ブドウから造られるのが基本です。果皮は濃い茶色で、色素であるアントシアニンを含みます。また、種子にはタンニンと呼ばれる渋味成分が含まれています。タンニンはポリフェノールの一種です。果皮や種子が赤ワインの色や渋味に影響します。

アントシアニンやタンニンの合有量は、ブドウの品種や産地、収穫年、ブドウ果実の熟成度合いによって異なります。
ブドウの果実が成熟するにつれてこれらのポリフェノール類の合有量が増えますが、気温が低い場合や逆に高すぎる場合は、生成がうまくいきません。

黒ブドウの収穫タイミングは、品種によって異なりますが、日本を含む北半球は9月〜11月です。南半球はだいたい3月から始まります。

黒ブドウの品種

カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)

世界で最も有名な黒ブドウの代表格の品種です。生産地域はフランスのボルドーやチリ、オーストラリア、アメリカなどです。渋さと酸味のバランスがよく、重厚で飲みごたえのあるワインです。デイリーワインから高級ワインまで、幅広く造られます。しっかりとした渋味が特徴で、ステーキなどの牛肉料理と相性が良いです。

メルロー(Merlot)

世界中で栽培されていますが、特にフランスのボルドー地方のサン・テミリオンとポムロールが、世界最高峰のメルローとして知られています。マイルドでフルーティーな味わいで、ラズベリーやチェリーなどの果実の香りがあります。熟成すると、トリュフや土、プルーンのような香りが現れ、まろやかでふくよかな味わいになります。
料理は、ローストビーフ、ミートボール、ハンバーグなどが合います。

ピノ・ノワール(Pinot Noir)

フランス ・ブルゴーニュ地方が原産の品種です。渋味が少なく軽やかな味わいのピノ・ノワールはエレガントなワインに仕上がります。「ロマネ・コンティ」の原料としても知られています。
透明感のあるルビー色で、ベリー系の赤い果実系の香りが特徴です。
ピノ・ノワールと相性が良い料理は、フルーティーな香りが活かされる料理です。例えば、甘酸っぱいソースを使った料理、フルーツを使ったスイーツ、おつまみなど軽めの料理です。

シラー/シラーズ(Syrah)

原産のフランスコート・デュ・ローヌ地方ではシラーと呼ばれていますが、オーストラリアやその他のニューワールド諸国ではシラーズと呼ばれることが多いです。シラーは、渋味がほどよく感じられ、コクのあるジューシーな味わいのワインに仕上がります。また、黒胡椒のようなスパイシーな香りも特徴です。相性の良い料理は、ジビエ料理です。黒胡椒をきかせたり、香ばしくローストするのがおすすめです。

カベルネ・フラン(Cabernet Franc)

フランスでの栽培が約7割を占めますが、世界中で広く栽培されています。味わいは、カベルネ・ソーヴィニョンより軽やかで、ブルーベリーやスミレを連想させます。
料理は、牛肉や仔羊肉などの赤身肉で、ローストやステーキなどグリルとの相性が良いです。

グルナッシュ・ノワール(Grenache Noir)

スペイン原産のブドウで、フランス、そして世界に広がりました。スペインではガルナッチャと呼ばれ、宝石のガーネットから由来しています。
渋味と酸味はあまり強くなく、ブラックベリーや、完熟チェリーの果実味に、天草のスパイシーな風味が感じられます。おすすめの料理は地中海料理です。

ネッビオーロ(Nebbiolo)

イタリアの代表品種です。皮は薄く、病気にかかりやすことから栽培が難しいとされています。
しっかりとした渋味とコクがあり、ブラックチェリーのような果実味とフローラルな香りがあります。長期熟成によりトリュフや皮革、土などの香りが現れ、高級ワインになります。
相性の良い料理は、ミートローフやローストビーフ、すき焼きなどです。熟成したワインにはトリュフやキノコ料理が合います。

ガメイ(Gamay)

フランスのブルゴーニュ地方およびロワール地方で主に栽培されています。ボジョレー・ヌーヴォーの原料としても有名です。フレッシュなイチゴのような果実味と、スミレやバラの香りが特徴です。渋味は少なく、酸味が感じられるフレッシュなワインです。
料理は、鶏肉の赤ワイン煮込みや、レバーやパテなど、少しクセのあるお肉料理が合います。

テンプラニーリョ/テンプラニージョ(Tempranillo)

スペイン語で「早熟」を意味し、スペインの一般的な品種よりも数週間早く熟す品種です。
プラムや甘い果実味で、皮革の香りがあります。しっかりとした渋みもありつつおだやかで、まろやかなワインです。長期熟成すると、香り高く甘みのあるスパイシーな風味が生まれます。
スペインを代表する食材である生ハムとの相性が良いです。

サンジョヴェーゼ(Sangiovese)

イタリア中部が産地で、名前は「ジュピター(=ローマ神話の主神)の血」という意味を持つことから、古代から存在していたブドウと言われています。「キャンティ」の原料としても有名です。
イチゴやプラム、スミレの花の香りがあり、酸味は強めで渋味は中程度です。
イタリア料理との相性が良く、軽めのサンジョヴェーゼのワインには、パテやハム、酸味のあるトマトソースを使った料理が合います。

マルベック(Malbec)

フランス南西部やボルドー、アルゼンチンなどで栽培されています。数あるブドウの中でも果皮が厚く渋味のタンニンが豊富なため「黒ワイン」と称されることもあります。
ブラックベリーやプルーンのような果実味で、アニスのようなスパイシーな香りを持ちます。
料理は、鴨などのジビエ、牛肉料理が適しています。

ジンファンデル(Zinfandel)

アメリカのカリフォルニア州を代表する品種として知られていますが、イタリアでもプリミティーヴォの名前で造られています。
味わいはブドウの熟成度合いと産地によって変わりますが、全体的にラズベリーのような赤いベリーの香りと渋味は少なく軽やかなワインです。
料理は、少し甘みのあるソースとの相性が良いため、焼肉やお好み焼きなどと合います。

ピノ・タージュ(Pinotage)

ピノ・ノワールとサンソーを交配した南アフリカ共和国の品種です。ボージョレーのような軽やかなワインから、ローヌ地方のようなリッチな味わいまで幅広い味わいのワインが造れます。
重みとコクがある傾向のワインが多いため、料理は、こってり肉料理、韓国料理、焼肉が合います。

プティ・ヴェルド(Petit Verdot)

主にフランスのボルドーでブレンド用のブドウとして栽培されています。他の品種と比べて熟するのは数年に一度と時間を要する「晩熟タイプ」です。十分に熟すと、少量でもタンニンの渋味と濃い色合いを与えます。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローとブレンドされ、まさにワインのスパイスの役割のような存在です。

マスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)

新潟県が原産地の日本固有種です。アメリカ系の品種と、ヨーロッパ系の品種を交配して造られました。日本の品種として、世界からの注目が集まっている期待の品種です。味わいの特徴は、ストロベリーのような甘い香りで、渋味は穏やかで軽やかな傾向があります。
料理は繊細な和食、塩胡椒で調理するシンプルな肉料理、また焼き鳥にも合います。

ムールヴェードル(Mourvèdre)

スペインのバレンシア州が原産の品種です。色が濃く、しっかりしたタンニンで、ブルーベリーの風味やシナモン、クローヴ、天草などの土っぽく、スパイシーな香りを持ちます。そして動物的な香りを持つのが特徴です。単一ではなく、ブレンド用として使われることが多いです。
料理は、ビーフシチューや赤身の肉料理、濃厚な中華料理や韓国料理に合わせるのもおすすめです。

バルベーラ(Barbera)

イタリア北西のピエモンテ州が原産の品種です。深い色味でフルボディ、タンニンは控えめで酸味は強いワインです。完熟のカシスやブラックベリーの果実味を濃厚に感じられます。熟成するとバニラの風味やスモーキーな香りが加わります。
料理は肉料理、魚介のスープ、焼き魚、ミートソース、チーズを使った料理などと合います。

赤ワインのブドウ品種 まとめ

今回は黒ブドウの品種ごとにそれぞれの特徴があることをご紹介しました。
どのブドウを使うかで味わいや色、香りが変わります。また、熟成させてさらに変化します。

同じ品種でも、産地が違えば味わいも変わってきますので、一概に今回ご紹介した内容が当てはまるわけではございません。あくまで傾向として、ご理解いただけると幸いです。

ぜひワイン選びに役立ててみてくださいね。